アジングタックルを片手に堤防に立つと、隣で銀色に輝くタチウオが釣れている…。
「もしかして、このアジングロッドでも釣れるんじゃないか?」
そんな淡い期待と好奇心が、あなたの中で芽生えていませんか?
その気持ち、痛いほど分かります。
しかし、その一歩を踏み出す前に、どうかこの記事を読んでください。
アジングロッドでタチウオを狙うという挑戦が、どれほど無謀で、高いリスクを伴うものなのか。
あなたの愛竿と、大切な時間を守るための、真実をお伝えします。
アジングロッドとタチウオロッド:そもそも戦う相手が違いすぎる!
まず、大前提として理解していただきたいのは、アジングロッドとタチウオロッドは、全くの別物だということです。
例えるなら、短距離走用のスパイクと、登山靴くらいの違いがあります。
それぞれの竿が、どんな相手と戦うために作られているのか、その決定的な違いを見ていきましょう。
ターゲットの習性とパワーの決定的差異
比較ポイント | アジ | タチウオ |
---|---|---|
口・歯 | 吸い込みやすい小さな口、歯はほぼない | カミソリのように鋭い歯、硬い顎 |
引きのタイプ | 軽快な横走り、小気味よい引き | 重量感のある引き、垂直方向への抵抗、独特の締め込み |
ヒット後の行動 | 群れで回遊、比較的オープンな場所でファイト | 激しく頭を振る、他のラインに絡むことも |
重量 | 軽い(~30cm程度) | 重い(メーター級、ドラゴンサイズも) |
アジは、小さな口でプランクトンなどを吸い込むように捕食し、その引きは軽快です。
アジングロッドは、このアジの繊細なアタリを捉え、その引きを楽しむために作られています。
一方、タチウオはどうでしょうか?
まず、その口にはカミソリのように鋭い歯がずらりと並んでいます。
この歯は、アジングで使うような細いリーダーなど、一瞬で「スパッ」と切断してしまいます。
引きも、アジとは全くの別物。
ヒットした瞬間にズシンと乗る重量感、垂直方向にグングンと締め込むような独特の抵抗は、アジングロッドのしなやかなブランクスを限界まで絞り込みます。
指4本を超えるような大型のタチウオ、通称「ドラゴン」ともなれば、そのパワーはアジングロッドで受け止められるレベルを遥かに超えています。
戦う相手の戦闘能力が、根本的に違いすぎるのです。
アングラーズアドバイス
アジとタチウオじゃ、もう生物として装備が違いすぎるんだよな。
アジが素手の格闘家なら、タチウオは全身に刃物を仕込んだサイボーグだぜ。
そんな相手に、アジングロッドで挑むのがどれだけ無謀か、分かるよな?
まず、こっちの武器(ライン)が、一瞬で破壊されるんだから。
使用するルアーやリグの重量とアクション
- アジングで主に使うルアー: 1g前後のジグヘッドリグが中心。
- タチウオで主に使うルアー: 10g~30g程度のメタルジグ、ワインド用のジグヘッド(1/4oz~1oz)、タチウオテンヤなど、重量級が中心。
- 求められるアクション: アジングは「繊細な誘い」、タチウオは「激しいダート」や「リフト&フォール」など、ロッドに大きな負荷がかかるアクションが多い。
アジングでは、1g前後の軽いジグヘッドをフワフワと漂わせるような、繊細な釣りが主体ですよね。
しかし、タチウオを狙う場合、もっと重くて、もっと激しく動かすルアーが主流になります。
例えば、キビキビとしたダートアクションでタチウオにアピールする「ワインド」という釣り方では、7g(1/4oz)から、時には28g(1oz)を超えるような専用のジグヘッドを使います。
メタルジグを使う場合も、10gや20g、30gといった重さのものを、大きくリフトさせたり、フォールさせたりします。
これらのルアーの重さは、ほとんどのアジングロッドの適合ルアーウェイトを、遥かにオーバーしています。
そして、ワインドのように、ロッドを激しくシャクり続けるアクションは、アジングロッドの繊細なティップに、致命的なダメージを与えかねません。
アングラーズアドバイス
アジングロッドでワインドやろうなんて、マジで考えちゃダメだぜ!
一回シャクった瞬間に、ティップが「パキーン!」って綺麗な音を立てておしまいだ。
ロッドっていうのは、想定された重さのルアーを、想定されたアクションで動かすために作られてるんだ。
そのルールを無視したら、壊れて当然なんだよな。
ロッドに求められる基本性能(繊細さ vs パワー)
求められる性能 | アジングロッド | タチウオロッド |
---|---|---|
パワー | ライト(繊細さ重視) | ミディアム~ヘビー(パワー重視) |
ティップ | 吸い込みアタリを捉える繊細なティップ | 重いルアーを操作し、激しいアクションに耐える強靭なティップ |
バット | 魚の引きを楽しむしなやかなバット | タチウオの重量感を受け止め、リフトする強靭なバット |
耐久性 | 軽量化優先で華奢 | タチウオの歯や、強引なファイトにも耐えるタフネス |
アジングロッドは、その基本性能を「繊細さ」に全振りしたロッドです。
軽いリグを操り、小さなアタリを感じ、アジの引きを楽しむ。
そのための、軽さ、感度、しなやかさが追求されています。
一方、タチウオロッドは、「パワー」と「耐久性」が最優先されます。
重いルアーをしっかりとキャストし、激しいアクションを加え、タチウオの重量感のある引きを受け止め、そして何より、鋭い歯によるラインブレイクを少しでも防ぐための、強いバットパワーと耐久性が求められます。
繊細なティップは、ワインドのような釣りでは不要ですし、むしろ破損の原因になるだけです。
このように、両者のロッドは、求められる性能が全くの正反対。
アジングロッドでタチウオを狙うということは、その竿が最も苦手とすることを、最も手強い相手に仕掛けるようなものなのです。
アングラーズアドバイス
アジングロッドとタチウオロッドは、もう住んでる世界が違うんだよ。
片方はピアニストの指先、もう片方はヘビー級ボクサーの拳だ。
ピアニストの指で、サンドバッグを本気で殴ったらどうなる?
指が壊れるだけだろ?
それと全く同じことなんだよ。
道具は、適材適所で使ってこそ、だよな。
無謀な挑戦?アジングロッドでタチウオを狙う際の高いリスク
「違いは分かったけど、それでも万が一…」そう思うかもしれません。
しかし、アジングロッドでタチウオを狙うことには、単に「釣りにくい」というレベルではない、明確で高いリスクがいくつも存在します。
ここでは、その悪夢のような現実を、具体的に見ていきましょう。
鋭い歯による「ラインブレイク」という悪夢
- タチウオの歯はカミソリのように鋭く、フロロカーボンのリーダーなど一瞬で切断される。
- 対策としてワイヤーリーダーが必須になるが、アジングロッドで扱うには重く、バランスが悪い。
- ヒットした瞬間に「スパッ」と切られることがほとんどで、釣りにならない。
- 魚にルアーを残してしまい、環境にも魚にも悪い。
タチウオ釣りの最大の敵、それはあの鋭い歯です。
アジングで使うような、フロロカーボンの1号や1.5号といったリーダーは、タチウオの歯にかかれば、まるで熱したナイフでバターを切るように、何の抵抗もなく「スパッ」と切断されてしまいます。
アタリがあったと思った瞬間、手元には何の感触もなくなり、ただルアーだけを失う…。
これを何度も繰り返すことになります。
その対策として、タチウオ釣りでは「ワイヤーリーダー」や「太いフロロリーダー(30lb以上など)」を使うのが常識ですが、そんな重くてゴワゴワしたリーダーを、繊細なアジングロッドで扱えますか?
答えはNOです。
タックルバランスは崩壊し、ルアーの動きも不自然になり、釣りとして成立しません。
結果として、ほとんどのアタリはラインブレイクに終わり、魚と海にルアーを残すだけ、という最悪の結末を迎える可能性が非常に高いのです。
アングラーズアドバイス
タチウオの歯、マジでナメちゃいかんぞ!
俺も経験あるけど、アタったと思った瞬間に、もう切られてるんだよな。
何の余韻もない、「無」の感覚だ。
あれはマジで心が折れるぜ…。
ワイヤーリーダーなしでタチウオ狙うのは、もうルアーを海に寄付しに行ってるようなもんだからな。
絶対やめとけ!
圧倒的なパワー不足!竿がのされてファイト不能
- アジングロッドのパワーでは、タチウオの重量感と引きに全く対抗できない。
- ヒットした瞬間に竿が満月のようにしなり、なすすべなくのされてしまう。
- 魚をリフトアップ(持ち上げる)することができず、ファイトの主導権を完全に握られる。
- たとえラインが切れなくても、キャッチできる可能性は極めて低い。
仮に、奇跡的にラインが切れずにタチウオがヒットしたとしましょう。
しかし、そこからが第二の地獄の始まりです。
アジングロッドのしなやかなブランクスでは、タチウオのズッシリとした重量感と、グングンと締め込むような独特の引きに、全く対抗することができません。
ヒットした瞬間、竿はティップからバットまで、限界を超えて絞り込まれ、アングラーはただただ耐えるだけ。
リールを巻くことも、竿を立てて魚をリフトアップすることもできず、完全に主導権を奪われてしまいます。
まるで、巨大なビニール袋でも引っ掛けたかのような、生命感はあるのにどうにもならない、絶望的な状況に陥るのです。
これでは、たとえラインシステムが耐えたとしても、魚を足元まで寄せて、ランディングに持ち込むことは、ほぼ不可能と言えるでしょう。
ただただ、魚に引きずり回された挙句、フックが外れて終わり、というのが関の山です。
アングラーズアドバイス
アジングロッドでタチウオ掛けると、もうファイトじゃなくて「拷問」だぜ。
竿が「折れるー!」って悲鳴上げてるのが、手に取るように分かるんだ。
こっちも「頼む、折れないでくれー!」って祈るしかない。
魚とのやり取りを楽しむどころじゃないんだよな。
そんなスリル、誰も求めてないだろ?(笑)
ティップ破損!ワインド等のアクションは自殺行為
- タチウオ釣りの定番「ワインド」など、ロッドを激しくシャクる釣り方は、アジングロッドの繊細なティップに致命的なダメージを与える。
- キャスト時だけでなく、アクションの最中にティップが折れる可能性が非常に高い。
- アジングロッドは、縦方向の激しい動きを想定して作られていない。
繰り返しになりますが、これは絶対にやってはいけないことです。
タチウオ釣りの非常に効果的なメソッドである「ワインド」は、ロッドを上下に、鋭く、そして連続的にシャクることで、ジグヘッドを左右にダートさせる釣り方です。
この、ロッドに瞬間的な強い負荷をかけるアクションは、アジングロッド、特に繊細なソリッドティップにとっては、まさに「自殺行為」に他なりません。
アジングロッドのティップは、あくまで軽量リグの重みを感じたり、アジの吸い込みアタリに追従したりするための「しなやかさ」を重視しています。
縦方向に、激しく、そして連続的に負荷をかけるような動きは、全く想定されていません。
一回、二回シャクった瞬間に、ティップがその負荷に耐えきれず、「パキッ!」と乾いた音を立てて折れてしまうでしょう。
愛竿を自らの手で破壊するようなものですから、絶対に試さないでください。
アングラーズアドバイス
ワインドだけは、マジで、本当に、絶対にやめとけよ!
これはもう、注意喚起とかじゃなくて「禁止事項」だ。
アジングロッドでワインドやるくらいなら、その竿、俺にくれ!
もっと大事に使ってやるから(笑)。
とにかく、それくらい無謀なことなんだって、肝に銘じておいてくれよな!
扱えるルアーの限界とフッキングパワーの問題
- アジングロッドで扱えるのは、数g程度の極めて軽いルアーのみ。タチウオへのアピール力が弱い。
- タチウオの硬い口に、アジングロッドのパワーではフッキングが決まりにくい。
- アタリがあっても、掛からない、または浅掛かりでバレることが多発する。
タチウオを狙う上で、もう一つの大きな壁が、扱えるルアーの限界と、それに伴うフッキングの問題です。
アジングロッドで安全に扱えるルアーは、せいぜい5g程度の、ごく軽いメタルジグやジグヘッドリグに限られます。
しかし、広大な海でタチウオにアピールするには、これらのルアーはあまりにもアピール力が弱く、存在に気づいてもらえない可能性が高いです。
そして、運良くバイトがあったとしても、今度はフッキングの問題が立ちはだかります。
タチウオの口周りは、意外と硬く、アジングロッドのしなやかなティップと弱いバットパワーでは、アワセの力が吸収されてしまい、しっかりとフックを貫通させることが難しいのです。
「ガツン!」という強烈なアタリがあったのに、リールを巻くとスッと軽くなってしまう…。
これは、フッキングが不十分で、タチウオが首を振った際に、浅掛かりしたフックが外れてしまった証拠です。
アタリの数に対して、キャッチできる確率が非常に低くなってしまうのも、この釣りの厳しい現実です。
アングラーズアドバイス
アジングロッドでタチウオ狙うのって、結局、攻撃力も防御力も、どっちも足りてないんだよな。
小さい武器(ルアー)でしか攻撃できないし、敵の攻撃(歯)は一撃必殺だし、こっちの鎧(竿)はペラペラだし…。
こんなん、無理ゲーに決まってるだろ!
RPGで、初期装備のままラスボスに挑むようなもんだぜ。
「アジングロッドでタチウオ」が成立する超限定的な条件
ここまで、アジングロッドでタチウオを狙うことの危険性について、散々お話ししてきました。
「もう、絶対にやめよう…」そう思った方も多いでしょう。
しかし、それでも「万が一、億が一の可能性があるなら…」と考える、筋金入りのチャレンジャーのために、これが成立するための「超限定的な条件」を提示します。
ただし、これは釣りを推奨するものではなく、あくまで理論上の可能性です。
ターゲットは「指2~3本クラス」の小型タチウオのみ
- 狙うのは、エンピツやベルトサイズと呼ばれる、小型のタチウオに限定する。
- 指4本以上の良型がヒットしたら、獲れる可能性はゼロと諦める。
- 小型でも、アジングロッドには大きな負担がかかることを覚悟する。
まず、狙うターゲットを、厳しく、そして明確に限定しなければなりません。
アジングロッドで相手にできる可能性があるのは、タチウオの中でも最も小さい、指2本から、せいぜい3本クラスの、通称「エンピツ」や「ベルト」と呼ばれるサイズだけです。
このサイズであれば、引きもそれほど強烈ではなく、重量も軽いため、アジングロッドのパワーでも、なんとか、ギリギリで対応できる「かもしれない」というレベルです。
もし、これ以上のサイズ、指4本を超えるような、いわゆる「サーベル級」や、メーター超えの「ドラゴン級」がヒットしてしまったら…。
その瞬間に、潔く諦めてください。
ラインブレイクするか、ロッドが折れるか、そのどちらかの未来しか待っていません。
「もしかしたら獲れるかも」という淡い期待は、タチウオ相手には一切通用しません。
アングラーズアドバイス
夏の終わりとか、秋の初めとかに、港の中に入ってくる小さいタチウオなら、まあ、遊び相手にはなってくれる「かも」しれんな。
でも、問題は、小さい群れにデカいのが混じってることもあるってことだ。
その「事故」に、アジングロッドは対応できないんだよ。
ロシアンルーレットみたいな釣り、やりたいか?って話だ。
釣り方は「アジングの延長」!軽量リグの釣りに限定
- 3g~5g程度のジグヘッドに、ワームやキビナゴなどのエサを付けた、スローな釣りに限定。
- ワインドや、重いメタルジグを使った激しい釣りは絶対にしない。
- ただ巻きや、ゆっくりとしたリフト&フォールで、向こうアワセを狙う。
釣り方も、タチウオを狙うための特別なメソッドは、一切封印しなければなりません。
ワインドや、重いメタルジグを使った釣りは、ロッド破損に直結するため論外です。
成立する可能性があるとすれば、それは「アジングの延長線上にある釣り」だけです。
具体的には、3gから、せいぜい5g程度のジグヘッドに、ピンテールのワームや、エサのキビナゴなどを付け、それをゆっくりとただ巻きしたり、フワフワとリフト&フォールさせたりするような、極めてスローな釣りです。
アングラー側から積極的に仕掛けて掛けるのではなく、タチウオが勝手に食ってきて、針掛かりする「向こうアワセ」を狙うしかありません。
アジングをしている時に、たまたまゲストとして小型のタチウオが釣れちゃった…というシチュエーションを、意図的に作り出すようなイメージですね。
アングラーズアドバイス
アジングやってて、たまにタチウオ釣れることあるよな。
あれは、まさにこのパターンだ。
こっちはアジ狙いでフワフワさせてるのに、運悪く(良く?)タチウオが食ってきて、運良くリーダーが歯に当たらなくて、運良く小さいやつだったから獲れた、っていう奇跡の産物なんだよ。
その奇跡を、狙って起こそうってんだから、そりゃあ難しいに決まってるよな。
ワイヤーリーダー必須!しかしタックルバランスは崩壊寸前
- タチウオの歯対策として、ワイヤーリーダーの使用は絶対条件。
- しかし、アジングロッドにワイヤーリーダーを組むと、極端にタックルバランスが悪くなる。
- リグの動きが不自然になり、食いが落ちる可能性が高い。
- 感度も大幅に低下し、アジングロッドのメリットが失われる。
たとえ小型のタチウオが相手でも、その歯の鋭さは本物です。
ラインブレイクのリスクを少しでも減らすためには、ワイヤーリーダーの使用は、本来であれば絶対条件です。
しかし、ここに大きなジレンマが生まれます。
繊細なアジングタックルに、硬くて重いワイヤーリーダーを組むと、どうなるでしょうか?
タックル全体のバランスは、著しく崩壊します。
ワイヤーリーダーの重さと抵抗で、軽量なジグヘッドは思うように動かず、その動きは非常に不自然なものになります。
これでは、タチウオの食いを誘うどころか、逆に警戒させてしまうかもしれません。
さらに、感度も大幅に低下します。
アジングロッドの最大の武器である「感度の良さ」が、ワイヤーリーダーによってスポイルされてしまうのです。
ラインブレイクを防ごうとすれば、釣れる確率が下がる…。
まさに、八方ふさがりの状況と言えるでしょう。
アングラーズアドバイス
ワイヤーリーダー問題は、本当に悩ましいよな。
付けなきゃ切られる、付けたら食わない…。
どっちを選んでも地獄だぜ(笑)。
最近は、しなやかなワイヤーとかもあるけど、それでもアジングタックルには違和感ありまくりだ。
もう、これは「切られたら、そこまでよ」と割り切って、太めのフロロリーダーで挑むしかないのかもな。
まあ、それも無謀な賭けだけどな!
もし挑むなら…アジングロッドでタチウオと遊ぶためのタックルと工夫
ここまで読んで、それでもなお、「俺はやるぞ!」という、鋼の心臓を持つチャレンジャーへ。
無謀な挑戦を、少しでも「遊び」として成立させるための、最後の悪あがき…もとい、タックルセッティングと工夫のポイントをお伝えします。
ただし、これをやっても、リスクがゼロになるわけでは決してありません。
- ロッド: アジングロッドの中でも、L(ライト)~M(ミディアム)クラスの、できるだけパワーと長さのあるモデルを選ぶ。フロート用やキャロ用が比較的マシ。
- リール: 2000番~2500番クラスの、ドラグ性能の良いもの。
- ライン: PEライン0.4号~0.6号。
- リーダー: フロロカーボン4号(16lb)~5号(20lb)を30cm程度。または、市販の極細ワイヤーリーダー。どちらにせよ、違和感は覚悟の上で。
- ルアー: 5g以下の小型メタルジグ、または3g~5g程度のジグヘッド+ワーム(またはキビナゴ)。
- フック: 新品の、鋭いものに交換しておく。
- ファイト: ドラグは緩め。ヒットしたら、竿を立てすぎず、魚の動きに合わせていなしながら、ゆっくりとファイトする。ゴリ巻き厳禁。
- ランディング: 必ずランディングネットを用意する。抜き上げは100%不可能。
もし、アジングロッドでタチウオに挑むのであれば、まずは手持ちの竿の中で、最も強くて長いものを選びましょう。
ULクラスでは話になりません。
Lクラス、あるいはフロート用やキャロ用として売られているMクラスのロッドが、最低ラインです。
リールも、少し大きめの2500番クラスで、ドラグ性能がしっかりしたものを選びましょう。
ラインはPE0.6号あたりが、強度と操作性のバランスを考えると無難かもしれません。
そして、最大の問題であるリーダー。
一つの選択肢は、思い切ってフロロカーボンの4号や5号といった、アジングではありえない太さのものを、30cmほど短く結ぶこと。
これなら、運が良ければ歯に当たらず、耐えられるかもしれません。
もう一つの選択肢は、市販されている中で最も細いワイヤーリーダーを使うこと。
どちらを選んでも、ルアーの動きが悪くなったり、食いが落ちたりするデメリットは覚悟してください。
ルアーは、5g以下の軽いものに限定し、ワインドのような激しいアクションは絶対にせず、ただ巻き中心でスローに誘います。
そして、万が一ヒットしたら、慌てず、騒がず、ドラグを信じ、竿の弾力を信じ、ゆっくりと、時間をかけて、魚が弱るのを待つしかありません。
この、綱渡りのような一連の動作を楽しめるなら…あるいは、挑戦してみる価値があるのかもしれませんね。
アングラーズアドバイス
もう、ここまで来ると、釣りっていうか「実験」だよな。
「このセッティングで、果たしてタチウオは獲れるのか?」っていう、壮大な実験だ。
まあ、その試行錯誤が楽しいってのも、分からんでもないけどな。
でもな、一番大事なのは、周りに人がいる時は絶対やらないことだ。
ラインブレイクして、ルアーが飛んでって、誰かに当たったら大変だからな。
安全第一!
それが守れるなら…まあ、健闘を祈るぜ!
パワーのあるアジングロッドおすすめ5選
この記事で再三お伝えしてきた通り、アジングロッドでのタチウオ釣りは、極めてリスクが高く、基本的には推奨できるものではありません。
しかし、「アジングロッドの中でも、少しでもパワーがあり、万が一のゲストにも対応しやすいモデルが知りたい」という声にお応えして、あえて5本のロッドをピックアップしました。
これらのロッドは、あくまで「アジングロッドの中では比較的強い」というだけであり、タチウオ釣りに適しているわけではないことを、重々ご理解の上でご参考ください。
ダイワ 月下美人 アジング(80ML-T)
- ティップ: チューブラーティップ
- 全長: 8フィート0インチ (約2.44m)
- 適合ルアーウェイト: 1.5-10g
- 特徴: 8フィートのロングレングスとMLパワー。遠投性とパワーを兼ね備え、アジングロッドとしては破格のスペック。
ダイワの「月下美人 アジング」シリーズから、80ML-T。
このロッドは、8フィートという長さとML(ミディアムライト)パワーを持つ、アジングロッドの中では異端とも言えるパワフルなモデルです。
元々はフロートリグやキャロライナリグを遠投するための設計ですが、そのパワーと長さは、万が一タチウオがヒットした際に、他のアジングロッドよりは、ほんの少しだけマシな対応ができる可能性を秘めています。
適合ルアーウェイトもMAX10gなので、タチウオ狙いで使うような、5g~7g程度の小型メタルジグなら、なんとかキャストできる範囲内でしょう。
もちろん、このロッドでタチウオを積極的に狙うのは無謀ですが、「アジングをしていて、もしもの時にも、少しでも安心感が欲しい」と考えるなら、選択肢の一つになるかもしれません。
アングラーズアドバイス
月下美人の80ML-T、これはもうライトゲーム万能竿って感じだよな。
アジングロッドのカテゴリーだけど、シーバスの小物狙いとかにも使えそうだぜ。
まあ、タチウオ相手じゃ、これでもパワー不足は否めないだろうけどな。
でも、ULクラスの竿に比べたら、天と地ほどの差があるぜ。
「備えあれば憂いなし」的な一本かもしれんな!
アブガルシア ソルティースタイル アジ(632MLS)
- ティップ: ソリッドティップ
- 全長: 6フィート3インチ (約1.91m)
- 適合ルアーウェイト: 0.4-10g
- 特徴: MLS(ミディアムライトスロー)アクション。しなやかに曲がり込むことで、魚の引きをいなす。
アブガルシアの「ソルティースタイル アジ」から、632MLS。
このロッドの特徴は、MLS(ミディアムライトスロー)という、独特のアクション設定にあります。
MLクラスのパワーを持ちながら、竿全体がしなやかに曲がるスローテーパー気味の設計になっているんです。
これは、タチウオのような、急な突っ込みや首振りをする魚に対して、竿全体でその衝撃を吸収し、ラインブレイクやフックアウトを防ぐのに、少しだけ有利に働くかもしれません。
もちろん、根本的なパワー不足はいかんともしがたいですが、「力でねじ伏せる」のではなく、「竿のしなりでいなす」という発想でファイトするなら、面白い選択肢になる可能性があります。
適合ルアーウェイトもMAX10gと、アジングロッドとしては比較的広いので、軽いルアーで遊ぶには十分なスペックです。
アングラーズアドバイス
ソルティースタイルのMLS、これはテクニカルな釣り好きにはたまらんかもな!
パワーで押さえつけるんじゃなくて、竿を曲げきって、タチウオの体力を奪う…みたいな。
まあ、かなりの高等技術と、ドラグ設定の妙が要求されるだろうけどな。
小型のタチウオ相手に、スリリングなファイトを楽しみたいっていう、ドMなアングラーにはおすすめだぜ(笑)!
メジャークラフト 鯵道5G(S832FC/AJI)
- ティップ: チューブラーティップ
- 全長: 8フィート3インチ (約2.51m)
- 適合ルアーウェイト: 3-24g
- 特徴: フロート・キャロスペシャルモデル。アジングロッドの常識を超える長さとパワー。
メジャークラフトのハイエンドシリーズ「鯵道5G」から、フロート・キャロスペシャルのS832FC/AJI。
このロッドは、もはやアジングロッドのカテゴリーに収まらないほどの、圧倒的なパワーと長さを持っています。
適合ルアーウェイトはMAX24gと、タチウオ狙いで使うメタルジグや、軽いワインド用ジグヘッドも、十分にキャスト可能な範囲に入ってきます。
8フィート3インチというレングスは、タチウオを足元でいなしたり、遠投したりするのにも非常に有利。
ブランクスには最新の「T1100Gカーボン」が使われており、ただ硬いだけでなく、感度と粘りも兼ね備えています。
アジングロッドという括りの中で、タチウオに最も対抗できるポテンシャルを秘めた一本と言っても過言ではないでしょう。
ただし、それでもタチウオ専用ロッドではないため、ラインシステムなどの対策は必須です。
アングラーズアドバイス
鯵道のフロートモデル、これならタチウオとも、まあまあ戦えるかもしれん!
ほぼ、ライトショアジギングロッドに近い感覚で使えるだろうな。
20gくらいのメタルジグ投げて、ガツンと来たタチウオを、バットパワーで寄せてくる…みたいな、パワフルな釣りが展開できそうだぜ。
アジングロッドでタチウオやりたいっていう、無謀な夢を、一番現実的にしてくれる竿かもしれんな!
ダイワ 月下美人 MX A(710ML-S・N)
- ティップ: ソリッドティップ
- 全長: 7フィート10インチ (約2.39m)
- 適合ルアーウェイト: 1.5-10g
- 特徴: 遠投性と操作性を両立した、MLパワーのソリッドティップモデル。汎用性が高く、様々なリグに対応。
ダイワの「月下美人 MX」は、月下美人シリーズの中核をなす、高性能モデルだよね。
この710ML-S・Nは、7フィート10インチという絶妙な長さに、MLパワーのブランクスと、繊細なソリッドティップを組み合わせた、非常に汎用性の高い一本なんだ。
フロートやキャロといった遠投リグから、少し重めのジグ単まで、幅広くこなせる設計になっている。
この汎用性の高さは、タチウオという想定外のゲストに対応する際にも、少しだけ余裕をもたらしてくれるかもしれない。
MLパワーのバットは、小型のタチウオの引きにも、なんとか耐えてくれるだろうし、ソリッドティップは、ただ巻きでのスローな誘いで、タチウオのじゃれつくようなアタリを捉えるのに役立つかもしれないね。
あくまでアジングがメインだけど、色々な可能性を探りたいというアングラーには、面白い選択肢になるだろうね。
アングラーズアドバイス
月下美人MXの710ML-S、これは一本持ってるとマジで便利だよな。
アジングの引き出しを増やしたいって人には、ピッタリの竿だぜ。
まあ、タチウオ狙いでこれを選ぶってのは、ちょっと違うかもしれんけど、アジングしててタチウオの群れに遭遇しちゃった!
みたいな時には、ULロッドよりは遥かにマシな戦いができるはずだ。
備えあれば憂いなし、だな!
テンリュウ ルナキア(LK822S-HT)
- ティップ: チューブラーティップ
- 全長: 8フィート2インチ (約2.49m)
- 適合ルアーウェイト: MAX 12g
- 特徴: 高弾性チューブラートップを採用した遠投モデル。シャープなキャストフィールと、粘り強いバットが特徴。
質実剛健なロッド作りで定評のあるテンリュウの「ルナキア」シリーズから、LK822S-HT。
このロッドは、8フィート2インチのロングレングスに、高弾性のチューブラーティップを組み合わせた、フロートやキャロなどの遠投リグを得意とするモデルだ。
テンリュウ独自の「マグナフレックス製法」により、シャープでありながらも、負荷がかかると粘り強く曲がり込むブランクスが特徴。
この「粘り」が、タチウオの急な突っ込みに対しても、竿が衝撃を吸収し、ラインブレイクを防いでくれる可能性がある。
適合ルアーウェイトもMAX12gと、アジングロッドとしてはパワフルな部類に入るため、小型のメタルジグなどを操作するのにも適しているだろうね。
タチウオを積極的に狙うにはパワー不足だが、そのシャープな操作性と粘り強いブランクスは、万が一の遭遇戦において、アングラーを助けてくれるかもしれない、そんな期待を抱かせる一本だよ。
アングラーズアドバイス
テンリュウの竿って、なんか「信頼感」があるよな。
カタログスペック以上の粘りとか、使ってて安心できる感じがあるんだ。
このルナキアも、シャキッとしてるけど、魚掛けたらちゃんと曲がって仕事してくれるはずだぜ。
まあ、タチウオ相手にどこまで通用するかは未知数だけどな!
でも、この竿で小型タチウオとスリリングなファイトしたら、めちゃくちゃ楽しそうだぜ!
釣具の売れ筋ランキングも
忘れずにチェック!